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スポーツ女子は、小さく肩を竦める。
「えっ……」
レンレンは、思わず声を上げる。
「だって……彼女って……あの副会長ですよね?」
生徒会副会長結尾美織。
その端正で美しい知的な顔立ちと、顔に恥じない優秀な成績、沈着冷静な佇まい、そして彼女のフルネームを後ろから読んだら日本で最も美しい和食とされるお味噌汁になる事から付いたあだ名が"オミオツケさん"。
彼女のことを知らないレンレンでも聞いたことのある話しだ。
しかし、二人は同調するように首を小さく横に振る。
「あの子ね。そう呼ばれるのが嫌いなの」
スポーツ女子は、力なく言う。
「嫌い?……」
公式のように広まってるのに?
「そのあだ名ね。彼女に嫉妬した誰かが流した悪評なの」
文系女子は、眼鏡の奥の目尻を下げる。
「悪評?」
レンレンは、呟くように言う。
文系女子は、小さく頷く。
「あの子……この世で一番みそ汁が嫌いなの」
その後、レンレンはゴム手袋をして、出来立てのカツサンドを丁寧に紙袋に入れて外に待つ彼女に渡した。
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