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彼女は、冷めた目で紙袋の中のカツサンドを確認し、「ありがとう」と冷めた声でお礼を言う。
「食べる時間はありますか?」
時計は十二時五十分を刺していた。
「大丈夫。こう見えて早食いだから」
彼女は、素っ気なく答える。
「ダメですよ。ゆっくり食べないと身体に……」
「ご忠告ありがとう」
彼女は、レンレンの言葉を斬るように遮るともう用はないと言わんばかりに踵を返す。
「さようなら」
そう言って彼女は振り返りもしないまま去っていく。
先程の失言を謝ることすら出来なかった。
そしてもう関わることはないのだろうと漠然と感じた。
しかし、それは大きな間違いだった。
彼女とレンレンとの関わりはこれが始まりだった。
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