6人が本棚に入れています
本棚に追加
/174ページ
結尾さんが一番無難なんだろうが知りもしない、しかし、異性相手に名字とはいえ断りもなく呼ぶのはどうなのだろうか?
それともまずはなんて呼んだらいいか聞くのが正解なのだろうか?
学生食堂で働いているレンレンからは誰も想像も出来ないだろうが普段の彼は外見からは想像も出来ないくらい気が弱い。
それこそ虫も血を吸わせっぱなしなくらいおとなしい。
そんな彼に親しくもない、しかもファーストコンタクトで制裁を食らった異性に声を掛けるなんて難関中の難関であった。
そうこうしている内に彼女の足が止まる。
連れてこられたその場所にレンレンは目を疑う。
そこはレンレンの働く学生食堂であった。
もうおばちゃん達も引き上げているので普段、開きっぱなしの扉は固く閉じられ、小窓から漏れる電気も消えている。
「鍵持ってる?」
彼女は、冷めた目だけをレンレンに向けて問う。
「はっはいっ」
レンレンは、鞄からNPO法人の職員から特別に預けられた鍵を取り出して、施錠を解く。
彼女は、それを確認すると静かに扉を横に引き、中に入る。
「あっ」
レンレンは、思わず声を上げて手を伸ばす。
最初のコメントを投稿しよう!