第二話

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 彼女は、足を止めて振り返る。 「どうしたの?」  何をしてるの?と言わんばかりに彼女は顔を顰める。 「貴方の職場でしょ?遠慮せずに入りなさい」  そう言って彼女は奥に入っていく。  なんでそんなに堂々と出来るのだろう?  そんな疑問を抱きながらもレンレンは、コソ泥のように入り慣れた食堂に足を踏み入れた。  食堂の中は当然、真っ暗だった。  真っ暗な部屋に女子と二人。  そう思った途端にレンレンの心臓が破裂しそうなくらい高鳴る。  そんなレンレンの気持ちなど汲み取るどころか読み取ることもなく彼女は食堂の電気のスイッチを入れる。  食堂の中が明るくなるとレンレンはホッとした反面、何故か少し残念に感じてしまった。  彼女は、昼間、スポーツ女子達が座っていた二人席を見つけると椅子を引いて腰を下ろす。 「座らないの?」  彼女は、冷めた目でレンレンを見上げる。  その非常に感情の読みずらい目にレンレンは戸惑いつつも言われた通りに向かい側に座る。  それがスイッチであったかのように痛々しい沈黙が流れ始める。  普段、見慣れるはずの食堂が途端によくある異世界転移のように違う世界に見えて重苦しい。
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