6人が本棚に入れています
本棚に追加
/174ページ
しかし、そんな異邦な世界でも彼女は凛と背筋を伸ばして冷めた目をレンレンに向ける。
レンレンは、視線を泳がせながら落ち着かなげに椅子の上で何度も尻の位置を動かす。
「ねえ」
彼女は、唐突に声を掛けてくる。
「はいっ」
レンレンは、動揺を飲み込みながら返事を返す。
冷静に返せたはずと思うがどうだろう?
彼女は、冷めた目をじっと細める。
やはり感情が読めない。
レンレンは、昼に続いて背中に汗がじわりっと滲みてくるのを感じた。
「喉……渇かない?」
「えっ?」
レンレンが思わず聞き返すと彼女は眉を顰めて、形の良い唇を尖らす。
「だから、喉渇かない?」
ノドガカワカナイ?……。
のどがかわかない?……。
喉が渇かない?……!
ようやく頭の中で字を変換することが出来、慌てて立ち上がる。
「すいません!気が付かず!」
食堂で働いてる癖に水にも気づかないなんて……!
レンレンは、恥ずかしくなって頬を赤く染める。
確か厨房の冷蔵庫に明日用に作った麦茶があったはず……。
レンレンは、厨房に向かおうとする、と。
「あっごめん。そう言う意味じゃなくて」
最初のコメントを投稿しよう!