第二話

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 そう言って器をテーブルに戻し、ポケットからハンカチを取り出し、人差し指を拭く。 「貴方って……結構大胆ね」  オミオツケさんは、目を丸くしたまま言う。 「でも、そこからは離れて。お小遣い制で流石にクリーニング代までは出せないから」  クリーニング代?  何のこと?っとレンレンは聞きたかったがどうせ要領は得ないだろうと思い、素直にテーブルから離れた。  レンレンが離れたのを確認してからオミオツケさんはテーブルに近寄る。  オミオツケさんは、テーブルの真ん中に置かれた冷めたみそ汁を見る。  緊張と、若干の恐れの混じった冷めた目で。 「レンレン君」  オミオツケさんは、みそ汁に目を向けたまま言う。 「これから起きること……誰にも言わないでね」  これから起きること?  レンレンは、眉を深く顰める。  オミオツケさんは、大きく唾を飲み込み、蛇の巣穴に指を突っ込むように、そーっとみそ汁の器に指先を触れさした。  その時だ。  みそ汁の表面が小さく揺れる。  地震⁉︎  レンレンは、目を瞠る。  しかし、テーブルはおろか食堂の中は少しも揺れていない。  しかし、異変は続く。
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