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本来、同校に通う生徒が昼食時に学生食堂を手伝うなんてあり得ないことだがレンレンは、管理栄養士になるという目標と一つの目的の為に学校と食堂を運営するNPO法人にに交渉し、特別に許可されていた。
地元でも有名な進学校の割にはそう言ったところがやたらと融通が効し、生徒の意見を尊重してくれる。
もちろん、最後の授業を速抜けするので学業が疎かになると言うデメリットもあり、遅れた勉強と単位を取り戻すのには多大な苦労を要するが、それを差し引いてもレンレンに取って学生食堂の厨房に立つのは大切なことだった。
特に今日のような日は。
お湯が沸騰するように賑やかな食堂。
その一角の二人席だけが波が凪ぐように静かだ。
席に座ってるのはレンレンと同じクラスの女子二人。
一人はショートヘアの見るからにスポーツ女子と言った感じの肌がこんがりと焼けた細身の女子。もう一人はポニーテールに眼鏡をかけた、輪郭は丸いが女の子らしい体つきをした文系と言った感じの女子。
文系女子は緊張した面持ちで顔を伏せ、スポーツ女子は心配そうに文系女子を見てプラスチックのコップに入った麦茶を舐めていた。
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