第三話

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「それから我が家ではみそ汁は一切飲まなくなったの」  食卓でみそ汁が並ぶことは無くなった。  外食でも和食レストランに行くことは無くなった。 「学校の給食はどうしたんですか?」  レンレンは、眉を顰めて聞く。  そんなに多かったわけではないが給食でもみそ汁が出ることはあったはず。  それはどうしたのだろう? 「休んだわ」  オミオツケさんは、そう言って小さく舌を出す。 「みそ汁がある日だけ風邪を引いたとか、冠婚葬祭とかで理由をつけて休んだの。もう少し成長してからは生理痛を理由に。実際、重かったから嘘ではないんだけど親公認で学校を休めるのは嬉しかったわ」  なるほど。  それはある意味では羨ましくもある。  しかし……それじゃあ。 「それでは特にみそ汁が飲めなくて困ったことはなかったわけですね」  話しだけ聞いていると結尾一家は巧みにみそ汁との接触を避けることに成功していた。  中学校に入れば学食のある私立にでも入らない限りはお弁当だからみそ汁との接点なんてないだろう。今だって食堂を避けたり、お昼の時みたいにテイクアウトにすればみそ汁と触れ合うことはない。  なのに……。
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