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「なんで……みそ汁を飲みたいんですか?」
そう聞いた瞬間、オミオツケさんの顔が暗くなる。
冷めた目が彷徨ってテーブルを見て、両手で湯呑みをきゅっと握る。
オミオツケさんの雰囲気の変化にレンレンは顔を顰める。
「妹……」
オミオツケさんは、ぽそりっと呟く。
「妹が出来たの」
彼女は、力なく話し出す。
彼女が中学一年生の時に母のお腹に新たな命が宿った。
母は、元々不妊症でオミオツケさんが妊娠したのも奇跡とまで言われていたので、十三年の時を経て新たに宿った命に家族中で喜んだ。
オミオツケさんもずっと欲しかった弟か妹が出来たことが嬉しくてしょうがなかった。
妹は、十月十日問題なく出生した。
父と母曰く、オミオツケさんにとてもよく似た顔立ちをしているそうだ。
それを聞いた時はどうか自分と違って愛想良く育ってほしいと心から願った。
妹は、本当に問題がなかった。
スクスクと成長し、よく笑い、よくミルクを飲み、ハイハイも早く、そして何よりもどんなご飯をあげても不思議なことは起きなかった。
「父と母はなにも言わなかったけどホッとしていたと思う」
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