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そう本当に妹には何の問題もなかった。
タッチが出来るようになり、歩けるようになり、言葉を覚えて、三歳になって幼稚園に通って友達もたくさん出来て、先生にもたくさん褒められた。
そう妹に何の問題もなかった。
「問題があったのは……私なの」
そう呟く彼女の声は冬の影のように冷たかった。
それはオミオツケさんが高校一年生になってすぐののこと。
母が幼稚園の先生に呼び出された。
妹が癇癪を起こして友達を殴ってしまったのだと言う。
妹は、とても穏やかで優しい性格をしており、友達に手なんて出す子じゃない。
特に今日は幼稚園の畑で育てたじゃが芋をみんなで食べるんだって喜んで行ったはずなのに……。
母は、慌ててた幼稚園に向かった。
そして幼稚園の先生と話し、妹と一緒に帰ってきた時、母はとても暗い顔をした。
オミオツケさんは、悲壮な顔をしている二人に思わず何があったのかを聞いた。
妹が何の理由もなく人を殴るわけがない。
きっと相手の子が何かしたのだと、この時までは本気で思っていた。
しかし、悪いのは妹でも、相手の子でもなかった。
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