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母は、オミオツケさんの質問に言いづらそうにして目を反らした。
しかし、妹は涙を浮かべながらこう言った。
「みそ汁知らないって言ったら笑われたの」
それを聞いた瞬間、オミオツケさんは世界から消えたくなった。
「妹はみそ汁を知らない。うちではみそ汁は出ないし、外食しても和食のお店には行かないから当然見たこともない。見たこともないまま五歳になった。だから幼稚園の先生から作ってくれたじゃが芋のみそ汁を見ても分からなかったの」
友達の家庭は当然のようにみそ汁が出ている。
喜ぶ子もいればみそ汁かよーっとがっかりした子もいただろう。そんな中でみそ汁を知らない妹は当然、不思議に思うし、周りに聞きもするだろう。
そして心の発達が未熟な子どもは無邪気に馬鹿にする……。
レンレンは、心に言いようのない重しが乗った気分になる。
なんでみそ汁だったのだろう?
じゃが芋なんだからせめてじゃがバターとかポテトサラダとかだって出来たはずだ。
それこそ手間とかアレルギーの問題だったのだろうか?
レンレンは、あまりの的外れな怒りを顔も知らない幼稚園の教諭にぶつけた。
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