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「それまでね……別にみそ汁が飲めないことを気にしたことはなかったんだ……」
オミオツケさんは、視線をテーブルに落とし、教会で懺悔をするように言う。
「父と母もみそ汁が飲めないことで責めることもなかったし、学校でも部活でも友達との付き合いでも困ることはなかった」
日本と言う国に住んでるのにも関わらずみそ汁に触れ合う場面は意外にも少ない。家庭で出なかったらほとんどは避けられると言ってもいい。だから、これまでの人生でみそ汁を飲めないことに引け目を感じることなんて一切なかった。
「でも、その弊害は私でなく妹に出た。彼女には何の問題もないに……みそ汁を飲むことが出来ない姉がいるせいであの子が辛い目にあったの……私さえいなければ何の問題もなく飲めるのに……」
オミオツケさんは、悔しそうに歯噛みする。
そうか……。
それで彼女は、オミオツケと言うあだ名に異様に反応するようになったのか……。
そしてそれが彼女がみそ汁を飲みたくなった、いや、飲まなくてはならなくなった理由……。
アレルギーでもない。
好き嫌いでもない。
でも、決して食べることが出来ない。
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