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オミオツケさんは、幸せな気分になりながらアズキマフィンを堪能しつつ、厨房にいるレンレンを見た。
レンレンは、普段の穏やかな顔からは考えられない真剣な眼差しで鍋と向き合っている。逞しい腕の動きは見た目からは考えられないくらい繊細で無駄がなく、一つ一つの作業を丁寧に、流れるようにこなしているのが遠目からでも分かる。
お玉と菜箸を動かし、火加減を見て、鍋の中身を確認し、味を見る。
ただ、それだけの動作なのに、その一つ一つがとても輝いて、美しくオミオツケさんには見えた。
オミオツケさんは、自分が見惚れていることにも気づかず、じっと調理するレンレンを見続けていた。
いつの間にか食べ終えていたアズキのマフィンの乗っていたお皿と水筒を片付けて丁寧にテーブルを拭くとレンレンがその上に黒いお椀を置く。
その中に入っているのは具材のないみそ汁だった。
オミオツケさんは、飛ぶようにみそ汁から数歩離れる。
「今日はみそ汁の何に反応するのかを見ていきましょう」
レンレンは、和かに言うと綺麗に畳まれたレインコートをオミオツケさんに渡す。
「反応?」
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