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オミオツケさんは、レンレンに目を向ける。
レンレンは、和かに笑う。
「初めてのみそ汁の味は?」
その言葉にオミオツケさんの顔に驚愕が浮かび、自分の唇に触れる。
「アレって……やっぱり……」
「はいっ」
レンレンは、柔らかく微笑む。
「みそ汁ですよ。正真正銘の」
その言葉はオミオツケさんの耳に現実のものとして届かなかった。
どこか遠くの……地球の裏側から鳥の囀りが聞こえるかのようにまるでリアリティがなかった。
しかし、レンレンの声は現実で、その言葉はゆっくりと清水のように染み込んでいく。
「本当に……?」
それでもオミオツケさんは信じられないと言わんばかりに声を震わす。
「本当に私……みそ汁を飲んだの?」
オミオツケさんの言葉にレンレンは小さく頷く。
「はいっ」
レンレンは、優しく言う。
「オミオツケさんはみそ汁を飲みました」
その瞬間、オミオツケさんの心に光のシャワーが注ぎ込んだ。
「いやーうまくいきました。実はですね……」
レンレンは、ここまでの流れの説明をしようとして……やめた。
オミオツケさんの冷めた目から大粒の涙が溢れたから。
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