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この調子だとせっかくの麺とパンが残って痛んでしまうのでないかと不安になるほどに。
しかし、学生食堂には定番の三つ以外にもメニューがある。
そしてそれこそがレンレンが食堂に立つ理由であった。
レンレンは、文系女子の前に料理を置く。
それは鮮やかな黄色にケチャップで宝石のように輝く笑顔の描かれたオムライス。
文系女子の目が眼鏡の奥で大きく見開かれ、弾けるようにレンレンの顔を見る。
レンレンは、大きな笑みを浮かべる。
「レンレン定食お待ち!」
これこそがレンレンが学生食堂にいる理由。
レンレンのみが作れるレンレン定食である。
「どうぞお召し上がりください」
そう言って丁寧に頭を下げる。
文系女子は、唾をごくんっと音を飲み込んで銀色のスプーンを手に取る。
スプーンの匙をそっとオムライスの表面に押し当て、プスンッと切り分ける。
スプーンの上に乗った黄色と赤の食欲を駆り立てるコントラスト。
文系女子は、じっとオムライスと睨めっこし、勇気を振り絞って口の中に突っ込んだ。
文系女子の目が大きく見開く。
唇がゆっくりと動き、顎をリズム良く動かして咀嚼する。
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