第六話

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 オミオツケさんの脳裏にコーンスープに変装していた人生初のみそ汁の姿が思い出させる。  あのまろかやか風味、優しい甘さ。深い出汁の味……。  しかし、思い浮かぶ外見はみそ汁ではなく、コーンスープの姿……。 「それに食堂を掃除した時も反応しなかった。飛び散ったのはみそ汁なのに」 「あっ」  確かにそうだ。  飛び散ったみそ汁を拭いても触れても反応しなかった。  それは自分がソレをみそ汁ではなく、汚れと認識してたから。 「つまりオミオツケさんの現象はみそ汁を視覚的に認識することで発動するんです」  みそ汁を視覚的に認識することで発動……。  オミオツケさんは、胸中でその言葉を反芻する。 (なんか言葉にすると厨二的にカッコいいけど……) 「ようは……単純ってこと?」  オミオツケさんは、冷めた目の端を小さく震わせる。  レンレンは、唇を固く紡いで顔を反らす。  オミオツケさんは、泣きそうに下唇を突き出して身体を震わせる。 「でも、結局……みそ汁って認識したら発動しちゃうのよね」  オミオツケさんの脳裏に大好きなエガオの姿になってレンレンに襲いかかったみそ汁を思い出す。
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