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「それじゃあ理由が分かっても対処のしようがないよね」
オミオツケさんは、がっくりと肩を落とす。
レンレン以外にみそ汁を擬態させてくれる人なんていないし、例えあったとしてもみそ汁と分かった瞬間に発動してしまう。
それでは意味がない……。
あんなに嬉しかったのに一気に気持ちが萎えてしまう。
しかし、レンレンは柔らかく微笑んで首を横に振る。
「そんなことないです。大きな進歩ですよ」
レンレンの言葉にオミオツケさんは弾かれるように顔を上げる。
「原因と要因が分かったんです。後はトライ・アンド・エラーを繰り返して正解を見つけるだけ。簡単です」
簡単……。
それは凄い単純な言葉なのに凄く頼もしい言葉にオミオツケさんには聞こえた。
オミオツケさんは、冷めた目を大きく見開いてレンレンを見る。
レンレンの優しい笑顔がとても綺麗に見える。
輝いて見える。
オミオツケさんの頬が朝焼けに当てられたように赤く染まる。
「オミオツケさん?」
レンレンは、首を傾げる。
「……あっ」
オミオツケさんの口が小さく動く。
「ありがとう……レンレン君」
それしか……言えなかった。
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