第六話

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 踊り場の窓から大きな人影が見え、オミオツケさんはそれがレンレンであるとすぐに分かった。別に久しぶりに見た訳じゃない。なんだったらしょっちゅう廊下や下駄箱であって話しているのに姿を見つけた瞬間、自分でも気づかずに嬉しくなった。 (でも、なんであんなところにいるんだろう?)  レンレンがいるのは校舎の裏側、生徒が普段足を踏み入れないようなところだ。  そんなところで何を……とマジマジと彼を見て……心臓が飛び出しそうになった。  彼の真正面に小さな人影があった。  健康的に日に焼けた細身の少女、スポーツ女子だ。  その姿を見た瞬間、何故かオミオツケさんの心臓は鐘を打つようにどんっと高鳴った。  スポーツ女子は可愛らしい顔に小さな笑みを浮かべて何かをレンレンに手渡した。  レンレンは、恥ずかしそうに頬を掻きながら大きな手でそれを受け取る。  それは綺麗にラッピングされた星やハート型のクッキーだった。  明らかに手作りの。  スポーツ女子は嬉しそうに口を促しながら手渡したお菓子を指差す。  レンレンは、嬉しそうにお菓子の封を開け、ハート型のクッキーを口の中に放り込み、美味しそうに食べる。
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