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第八話
オミオツケさんは、椅子に座り、目にハチマキを巻いた。触り心地がとても薄かったのに目の部分に巻きつけると途端に闇が視界を覆い隠す。
特訓の内容はこうだ。
視覚を閉ざした状態でランダムにお椀の中身を飲んでいく。
オミオツケさんは、いつ来るか分からないみそ汁に備えて気持ちを落ち着かせて、平静を保ち、舌がみそ汁を感じても動じず、現象が起きなければ成功、と言うことだ。
まるでいつ、どこで仕掛けが動くか分からないお化け屋敷で驚くなと言われているような気分で、そんなの動揺するな、と言う方が無理な話だ。
(クール、クール)
オミオツケさんは、心を、平静に冷静に保てるよう自らに催眠術をかけるように言い聞かせる。
「それじゃあ始めます」
レンレンの和やかな声が耳に入ってくる。
「オミオツケさん、お手数ですが匂いが分からないよう鼻を摘んでから器を取ってもらっていいですか?」
「……テッシュを鼻の穴に詰め込んだらいいんじゃないの?」
「……それはやめましょうか」
レンレンは、少し引き気味に言う。
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