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女の子同士では特に珍しい会話ではないが男の子は違うのだろうか?とオミオツケさんは首を傾げながらも自分の小さな鼻を指で摘み、もう片方の手で器を取ろうとして……気づく。
器が見えないことに。
緊張し過ぎて肝心なことに気づいてなかった。
レンレンもそれに気付いたのか「あっ」と声を上げる。
どうしよう……このまま手を闇雲に伸ばしてお椀をひっくり返したら元も子もない。
悩みあぐねるオミオツケさんの耳にレンレンの予想外の言葉が飛んでくる。
「俺が持たせますね」
「えっ?」
そう言うや否やオミオツケさんの鼻を摘んでない方の手に固い温もりが触れる。
レンレンの手だ。
ゴム手袋をはめてるのにその感触と温もりがしっかりと伝わってくる。
レンレンの手が優しくオミオツケさんの手に触れてゆっくりと持ち上げる。
ハチマキに目を覆ったオミオツケさんの顔が弾けんばかりに赤く染まる。
「ちゃんと握ってくださいね」
そう言ってオミオツケさんの手にお椀をゆっくりと持たせる。
しかし、オミオツケさんはレンレンの手の感触にばかり意識がいってお椀を上手く持つことが出来ない。
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