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オミオツケさんは、居た堪れなくなり、ハチマキを外して出て行こうか、と思った時、レンレンが「あーっ」と声を上げとと同時にポンっと音がした。
恐らく握った手を手の平に当てたのだ。
「あれはお礼です」
そう告げるレンレンの声は冷静そのものだった。
「お礼?」
オミオツケさんが聞き返すとレンレンは小さく頷いた……と思う。見えないけど。
「彼女……小麦粉アレルギーで以前、米粉でラーメンを作ったんですけど会う度にそのお礼ってお菓子をくれるんです。もういいですよって言ってるのに……律儀ですよね」
そう言ってレンレンは小さく笑う。
お礼……?会う度に……?
それはやはり何かあるのではないか?
オミオツケさんは疑うものの当事者であるレンレンはまるで疑問を抱いてないようで、「なんか申し訳なくて」とか「今度、俺からもお礼返ししないと」と笑いながら言う。
オミオツケさんは、疑わしく思いながら同時にレンレンが何とも思っていないのだと知って何故かホッとした。
ホッとしたと同時に……一つの想いが浮かび、気がついたら口にしていた。
「それじゃあ……私もお礼するね」
「んっ?」
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