第八話

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 オミオツケさんが発した言葉にレンレンは眉根を寄せて聞き返す。 「この特訓が……うまく言ったらお礼に付き合って」  お礼に付き合う?  おかしな日本語にレンレンは更に戸惑う。 「来週、エガオが笑う時の映画がやるの知ってる?」 「はいっそれは」  レンレンもファンなので当然知ってる。見に行きたいとも思うがどちらかと言うと女性向けの映画なので行きずらいと思って悩んでいたところだ。 「行きたいんだけど……誰も誘えなくて困ってたの。妹には早いし。これが上手く行ったら一緒に行きましょう」  一緒に映画に……?  そう考えた途端、レンレンに緊張が走る。  オミオツケさんと映画……それってデート⁉︎  そう思い至った瞬間、レンレンは心の中で悲鳴を上げて慌てて断ろうとする。  しかし、ハチマキを巻いたオミオツケさんの冷静な顔があまりにも真剣で口に出すことが出来なかった。  それにこの願いを叶うことで彼女の特訓に対する意欲が上がるのなら……。 「……わかりました」  レンレンは、重々しく頷く。  その瞬間、クールで知的なオミオツケさんの顔が輝いた……気がした。 「約束だよ」 「……はいっ」
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