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第九話
玉子スープ。
コンソメスープ。
オミオツケさんは、恐々とお椀に口を付け、味を確認するとホッとして飲み干し、器をテーブルに戻した。
そして緊張する。
残りは二つ。
お吸い物と……みそ汁だ。
「レンレン……ちょっと意地悪じゃない?」
オミオツケさんは、むっと唇を突き出す。
二つや三つで来てくれたらひょっとしたらみそ汁と気づかずに飲み干せたかもしれないのに、これでは緊張で嫌でも感覚が過敏になってみそ汁に反応してしまう。
「そうじゃないと特訓になりませんからね」
そう言ってレンレンが苦笑したのが分かった。
そして次のお椀が置かれたことも。
「さあ、飲んでください」
レンレンの言葉にオミオツケさんは頷くと手を動かして器がどこにあるかを確認し、見つけるとそれをゆっくり持ち上げる。
鼻を摘んでるので匂いはまるで分からない。
やはり味で見極めるしかない。
(クール、クール)
オミオツケさんは、呪文のように胸中で繰り返し、お椀に口を付け……愕然とする。
この塩味の効いた深い出汁の味わいは……。
「お吸い物?」
オミオツケさんは、言葉固く口に出す。
「正解です」
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