第九話

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 レンレンは、和かに言う。  オミオツケさんは、思わずお椀を落としそうになる。  五択中四択不正解!  いや、不正解ではない。敢えてレンレンはこの選択をしてオミオツケさんに飲ませていったのだ。  みそ汁以外を。  でも……。 「レンレン君⁉︎どう言うこと?これじゃあゲームの意味が……」  オミオツケさんは、言いかけてハッとする。  これはみそ汁当てゲームじゃない。  特訓だ。  レンレンは、五つの汁物を見せることでオミオツケさんの認識をみそ汁当てゲームのようだ、と思わせてそして意図的に違う汁物を飲ませたのだ。  次に来るのがみそ汁である、と。  そしてそれを分かった上で心を落ち着かせて飲むことが出来るか、と。  これはオミオツケさんの心を鍛えるための特訓。  みそ汁の味を感じても、匂いを嗅いでも、見ても動じない、現象が発動しなくする為の特訓なのだ。  トライ・アンド・エラー。  ちょっと前にレンレンが口にした言葉が頭の中で蘇る中、手からお椀の感触が一瞬消え、再び感触が戻ってくる。  少し重くなって。
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