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オミオツケさんは、レンレンが吸い物のお椀からみそ汁のお椀に変えたのだと、すぐに分かった。
その瞬間、お椀の中でみそ汁が暴れ出しているのが指先から伝わってくる感覚で分かった。
どうしよう……どうしよう……。
オミオツケさんは、みそ汁と一緒に自分の心持ちざわめき、泡立ち始めるのを止めることが出来なかった。
唇を噛み、心臓が激しく鳴り響き、涙が溢れそうになる。
その時、オミオツケさんの小さな肩に固い温もりが乗る。
「……大丈夫です」
レンレンの優しい声が耳朶を打つ。
「オミオツケさんなら出来ます」
レンレンの声が静かに震える心に染み込んでいく。
心臓の音が少し静かになり、お椀から伝わるみそ汁の感覚が少し静かになる。
「その調子です」
そう呟く声がレンレンの和やかに笑う顔を想像させる。
「……レンレン君」
オミオツケさんは、静かに、しかし縋るように声を絞り出す。
「飲ませて」
「えっ?」
レンレンの驚く声が聞こえる。
「身体が緊張して……これ以上動けないの。お願い……さっきみたいに飲ませて……」
オミオツケさんの肩に乗るレンレンの手が強張る。
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