第九話

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「お礼……付き合ってよね」  その言葉にレンレンは大きく目を開く。  オミオツケさんの冷めた、しかし、力強い目がレンレンを下から覗き込む。  それだけで彼女がいかに今回の特訓を真剣に受けていたかが伝わってくる。 (本当にみそ汁が飲めるようになりたいんだな)  妹のために。  そしてこんなに頑張ってるオミオツケさんのお礼(息抜き)をしたいと願ってるのだから自分もしっかりと答えなければ……。 「いつ行きますか?」  そう口にした瞬間、オミオツケさんの冷めた目と表情が輝く。 「今度の日曜日!チケットは私が取るから!」  オミオツケさんは、小学生が先生の質問に挙手して答えるように大きな声で言う。 「約束だからね!」 「……はいっ」  レンレンは、小さく笑って頷いた。
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