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「だって…」
「だってもへちまもないわよ。今はもう仕方ないけど、家に帰ったら素直にお礼言いなさいよ?」
「真琴…」
「ん?」
「…いいえ、何でもないわ」
真琴には熱が下がってから、落ち着いて事情を話す事に決めた。
今は一刻も早く体調を万全にしないと。
真琴は何か考えている様に私の顔を見ていたけど「解ったわ」とだけ言うとアイスを冷凍庫に入れた。
私には、真琴が自分が何を後で言われるのかの、解ったの様な気がしていた。
結局、熱が下がるまで、あれから3日掛かってしまった。
その間、お母さんから、私の携帯に何度かメールがあった。
『無理はしないで』
『家の事は心配しないで』
『学院には体調不良で休むって言ってあるからね』
そして、最後には決まって、『真琴ちゃんに宜しく。返信不要よ』と打ってあった。
お母さんは、(そして、おそらくお父さんも)今まで通り、普通に接してくれている。
まるで私の事を本当の娘である様に。
私は、お母さんがどうしてここまで良くしてくれるのか分からなかった。
ただ、優しさに溢れた文面を目にする度に私は涙が溢れてくるのを感じていた。
そして熱も下がった平日。
真琴が学院から帰って来て、落ち着いた頃を見計らって私は、両親の秘密を打ち明けた。
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