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「えっ…?」
流石の真琴も驚いて、私と一緒に食べていたアイスをポトッと自分の服の上に落としてしまった。
このままではシミになってしまう。
真琴は食べ掛けのアイスを冷凍庫にしまうと、スカートだけ脱ぎ、流し台で洗剤を付けてつまみ洗いを始めた。
家事が全く出来ない私に対して真琴は何でも出来る。
そこも真琴の凄いところだ。
真琴はつまみ洗いをしながら私に声を掛ける。
「香澄の気持ちも解るけど、いつまでもご両親からは逃げられないわよ?でも、大丈夫。きっと何か理由があるはず。私はいつも香澄の味方よ」
「ありがとう…。でも、私の本当の両親はどこにいるのかしら…?」
「それは解らないけど、香澄には、あんなに良いご両親がいるじゃない。血の繋がりがあっても上手くいかない親子間だってあるのに…」
その言葉を聞いて私はハッと思い出した。
真琴はご両親(それも主におじさん)に暴力を振るわれていて、おばさんもその様子を見ながら止めにも入ってくれなかった事…。
真琴が独り暮らしをしているのは、そういう事情があったんだった…。
「ごめん…真琴。辛い事、思い出させて…」
「ううん。確かに親と同居している時は辛かったけど、今は自由に過ごさせてもらっているし。香澄が負目を感じる必要は無いからね!」
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