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優しい真琴の声に今度は嬉し泣きしそうになる。
私がジーンとしている間に、真琴は手際良くつまみ洗いを終えると、よく流水で濯いだ後、固く絞ってピンと伸ばした。
「後は洗濯機で脱水するしかないか…。7月に入ったから干せるようになったのは良かったけどね」
そう…私が真琴の部屋に居候して看病してもらっている内に梅雨は空けていた。
今も遮光カーテンからお日様の光が差し込み、セミがミーンミーンと鳴いている。
外は暑いだろうけど、アイス食べ終わったら家に帰らなきゃなぁ…。
その時、スカートを脱水に掛けて、スウェットに着替えた真琴が私の手を握った。
「えっ…?」
「えっじゃないわよ。何ボーッとしてるの?エアコンと扇風機が点いてるとはいえ早く食べないとアイス溶けてきてるわよ」
「あ…」
我に返ると私の手元のカップのアイスは端から確かに溶けてきてる。
私は、急いでアイスを食べながらホッとして、深いため息をついた。
「…ありがとう、真琴。貴女がいてくれると、少し安心するわ」
「じゃあ家まで送っていく?」
「いいえ、外は暑いだろうし、散々お世話になったから良いわ。…真琴のお陰で両親とも向き合えそう」
そう…帰ったら先ずは心配掛けた事を謝らなきゃいけない。
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