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お父さんは、お母さんの応えを聞くと大きな溜め息をついた。
「でも、いつかは知ることになるだろう。その日が来たら香澄にはきちんと説明しなければならないな」
何かしら…?
心臓が痛い。
私は病気なんかじゃないのに…。
頭では理解出来なくても、心が先に察したのか、胸が張り裂けそう。
どうして、涙が出てくるの…?
お母さんが決意を込めた様に言った次の言葉に、私はその訳を否が応でも思い知ることになった。
「そうね、私達が香澄の本当の両親ではないということを、いつかは話さなければならない時が来るでしょうね…」
『お父さんとお母さんが私の本当の両親ではない』。
私にとっては衝撃的だった。
2人の事は大好きだから…。
だから、悲しい。
2人とこれからどう接していけば良いのか?
それと同時に、じゃあ、私の本当の両親はどこに居るんだろう?とも思った。
…解らない。
心が揺れ動く。
今の家族である両親への思いを抱きながらも私はお水も飲まずに静かに部屋に戻った。
そのままベッドの上にうつ伏せで倒れ込む。
だけど、眠れなかったのは、暑さのせいだけじゃない。
結局、満足に睡眠を摂れないまま、カーテンの隙間から陽が差し込んだ。
私は、心の整理がつかないまま、2人から逃げるように、まだ早朝の内に家を出た。
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