古屋敷

8/8

12人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ
「あ…うん。華村さん」 「真琴で良いわよ。何?」 「良かったら、連絡先を交換してくれないかな?今日は無理だけど、今度お礼したいんだ」 私は男性…清水くんの申し出に驚いた。 凄い積極的…。 だけど、それを聞いた真琴の応えに、もっと驚いた。 「良いわよ。…香澄も、清水くんと連絡先、交換する?」 真琴が降り返って訊いてきたけど、まだよく知りもしない、それも男子と連絡先なんて交換出来る訳が無い。 「私は遠慮しておくわ…」 「香澄って、ホント堅物なんだから…。そんなんじゃ、せっかく可愛いのに彼氏出来ないわよ?…良いわ、清水くん。私の連絡先はコレね」 彼氏って…男の子と仲良くなるには、真琴みたいにすれば良いのね…。 でも私は自分の携帯を取り出す気にはなれない。 男の子とあまり面識が無い私は彼氏作りより、警戒心の方が勝っていた。 真琴と清水くんは手早く連絡先を交換する。 「ありがとう。夏休み中には連絡するから。じゃあ、僕はこれで。2人共、本当に有り難う」 清水くんは初めて見せる笑顔を真琴に向けると、庭を出て行く。 2人共って言ってはいたけど、まるで私のことはおまけみたい。 私は嫉妬した。 大切な親友の真琴にではなくて、会ったばかりの清水くんに。
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加