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真琴の心配は何のその。
集団でゾロゾロ歩いていた私達は無事に集合場所へ辿り着いた。
そこからは班ごとに新幹線の同じ車両に乗って京都駅に向かう。
新幹線が発車すると私達4人は何故か拍手した。
「2人共、電車、凄く混んでなかった?」
「私達、普段は自転車通学だから、苦しかったわよ」
やっぱり、ラッシュは電車に乗り慣れていないと辛いよね。
真琴が電車での武勇伝を特に言いそうに無かったので、私の方から2人に痴漢の件の話をした。
「何それ?!その男、サイテー!」
「でも真琴、痴漢撃退するなんて、格好良い!流石ね」
2人は口々に私の真琴を褒め讃えた。
…え?
『私の』真琴?
やだ、真琴は物じゃないのに、私ったら何考えているのかしら…。
真琴は照れたように自分の髪をいじった。
「だって酷いじゃない?香澄をバカにしたような行動に出るなんて」
真琴…。
他の2人も、「うんうん、そうだよねー」と真琴に賛同している。
真琴は痴漢に遭ったのが私じゃなくても同じように助けただろうな…。
そう思ったら、私の胸はチクンと痛んだ。
それから新幹線の車内で私達はUNOをやって時間を潰した。
カードゲームでは、私の圧勝だったので2人は悔しがっていたけど、真琴は自分のことのようにはしゃいでいた。
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