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打ち明けられる親友
テーブルの上に書き置きで『涼しい内に行くね!朝ご飯はコンビニのイートインで食べてくから、要らないわよ』と残して。
お父さんとお母さん、変な風に思わないかしら?
そうは思っても、2人とどう顔を合わせて良いのか分からなかった。
私の足は、あるアパートに向かっていた。
私の1番の親友、華村真琴(はなむらまこと)。
彼女が独り暮らしをしているアパートに。
学院からは少し遠くなるけど、歩いて行ける距離だし、まだ時間があるから大丈夫よね。
そう思いながら、やけにムシムシする湿気の高い道を歩いていたら。
ポツ…ポツ…。
雨粒がアスファルトに落ちたと思ったら、ザーッと横殴りの雨が降り出した。
私は急いで鞄から折り畳み傘を取り出すと空に向かって広げた。
だけど…。
ビューッ!
風も強くなり、私は煽られて傘が壊れた。
「もう!どうして…」
私の声は雨音にかき消された。
この辺には雨宿りする所もない。
私は制服を始め、全身びしょ濡れになりながら、鞄と壊れた傘を手に真琴のアパートに走って行った。
幾ら独り暮らしでも、まだ早い時間だから本当に行って良かったのか分からなかったけど気付くと私は真琴の部屋のチャイムを押していた。
でも真琴は早いせいか警戒している様に、なかなかドアを開けない。
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