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真琴はそう言うけど、ベッドは1つしかない。
それなのに私が使っていたら、真琴がベッドを使えなくなってしまう。
ここは真琴の部屋なのだから。
そう説明したかったけど、熱でぼんやりとしていた私は、上手く言葉に出来ずに只「ここで良いわ…」とだけ口にした。
真琴が自分の鞄と傘を置いて、私の額に手を当てる。
ひんやりしていて気持ちいい。
「熱があるわね…。氷嚢と、後、頭痛、腹痛、吐き気は無い?」
「大丈夫…直ぐに治るし、移るから…」
「かと言って、その状態じゃどのみち家まで帰れないでしょう?何があったかは知らないけど、おばさんに連絡しておくから、携帯貸して?」
ゔゔ…不甲斐ないけど、仕方ない。
私は自分の鞄を指差した。
真琴とは、ツーカーの仲だから、携帯が鞄に在るって直ぐに分かったみたい。
私の鞄から携帯を取り出すと、指紋認証になっているロックを、私の人差し指に当てて解除する。
「悪いけど、掛けさせてもらうわね?」
真琴は私にそうひと言断って、お母さんに電話した。
少しして真琴が話しだす。
「済みません、おばさん。華村です。…はい、お久しぶりです。実はですね…」
真琴は手短に今の私の状態と何だったら2、3日泊めていくと伝えて、お母さんからの返事を「はい…はい…」と聞いていた。
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