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 家に帰ってから部屋に戻ると捨ててしまったはずの高校の教科書や問題集があった。スマホに登録していた予定を見ると2月9日の私立大受験の予定が書かれていた。  ニュースサイトを見ると、知っているようなニュースの見出しが並んでいた。  母も父も当然のように過ごしていて、最近のだらけた生活をしている自分に対するピリピリしたような雰囲気はなかった。  リアルな夢でも見ているんじゃないかと、思いながらその日は眠りについた。目を覚ますと、そこはまた空気の冷たい、冬の匂いのする部屋だった。  スマホを見てから美帆は左手で口元を押さえた。 「待って。これ、本当に……?」  スマホには『2月5日 火曜日』と表示されていた。 「本当に100日前に戻ってきたんだったら……今度は浪人なんかせずに済むってこと?」  ベッドから跳ね上がり、冷たい部屋で冷たい手をグッと握りしめた。  大嫌いな冬の冷たさが嬉しく思えたのは、十八年生きてきた中で初めてだなと美帆は思った。
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