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*  数学、国語、英語とすべて見知った問題だった美帆は、どの科目も試験開始から三十分程度で解き終わり、どの科目も真っ先に会場から出た。 「楽勝! 楽勝すぎる! ぜーったいに受かった! 落ちるはずないし!」  灰色の空からは雪が舞っていたが、美帆は寒さなど全く感じることはなく、ちょっとぐらい道に雪が積もっていても軽やかなステップで踊ることができるような気分だった。  これで浪人することはない。東京の大学に行って、真山とつきあって……美帆のバラ色の妄想は止まることがなかった。 「あのカードすごすぎる! これならもっとすごいことが……あ、そうか……」  美帆はふと考えた。  もう100日前に戻って、共通一次から受け直すことができる。今年の共通一次の問題は何度も繰り返し解いている。あれも同じ問題が出てくるならば絶対に解くことができる。点数さえよければ、真山と同じ国立大学にだって受かってしまうのではないかと。
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