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 真山が受験した国立大学の試験日の後、二次試験の問題を何度も解いてから、美帆は再び黒いカードを手にして願った。 「100日前に戻りたい!」  また右手に静電気のようなものが走ったかと思うと、カードが黒く光った。急激な眩暈が襲ってきたが、美帆は笑う余裕すらあった。  意識がはっきりしはじめてから美帆は目をゆっくりと開けた。  コートを着ておらず、制服だけで外にいる自分に気が付いた。一月に髪をバッサリと切ったはずなのに、いま左手で触れた自分の髪は肩よりも下まで長さがあった。  既に確信はあったが、カバンからスマホをゆっくりと取り出してから、日付を確認する。 『11月20日 (月)』  更に100日前に戻ってきたことが証明され、美帆は誰もいないアスファルトの上で声をあげて笑った。
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