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雨が上がった。
あれほど降っていた雨が、嘘のように消え去った。
その代わり私の頰には涙が溢れたままだ。
なぜ雨用の傘はあるのに、涙用の傘はないのだろう、なんて馬鹿げたことを思いながら歩く。
そうなのだ。
憂鬱な雨も、いつかは上がるのだ。
なのに私の涙雨はずっとずっと降り続く。
私はそんな雨を理由に、いろいろなことを勝手に雨天中止にして戦わなかった。
でも今日こそ決心がついた気がする。
雨上がりの空を見上げて、私は誓う。
「戦います」
神様がうなずいたような気がした。
私の涙雨は上がり、綺麗に乾いていった。
雨上がりの空は美しく、そこに私の背中を押すように風が吹いた。
THE END
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