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42 王都のグルメが私を呼んでいる!
面倒ごとの多かった日の翌日。
どうしようか迷ったが、3人で話し合い、とりあえず今日一日は休息日にすることにした。
クラウは冒険者ギルトの2階の資料室に行くとのこと。なんでも宿屋で借りれる、冒険者として必要であろう知識関係の本は、すでに読み終わったのだとか…
以前読んでいた『王都の大迷宮を攻略せよ!大迷宮解体新書』も宿から借りたものだとか…さらなる知識を求めて1日篭るらしい。
リーゼの方は、食べ歩きをしたいとのことで朝食も食べずに「王都のグルメが私を呼んでいる!」と出ていった。夕食は一緒に食べるとは言っていた。
昨日は金貨10枚ずつ分けたので資金は大丈夫であろう。そもそも以前からのリーゼ個人の資金もある程度はあるだろうし…
そして一人取り残された僕は、どうしようか悩んでいた。
今週末には当面のお金の問題も無くなる。目星を付けている魔法のバッグもあるのでそれもぜひ購入したい。そして年明けから少しして殿下の護衛任務と言う面倒ごとに巻き込まれた。
そこの準備もしておきたいが、必要なものを購入するのはまだ早いだろう。買い込むなら2人とも相談して決めておきたい。
まずはそれよりも久しぶりのソロ狩りだ。
今は迷宮に1人では入れなかった昔の僕ではない。1人でも十分に戦えるだろう。そして何と言っても目標がある。多少の力が付いた今、[剣術]スキルを上げておきたい。
昨日のようなことがあった時、拳ではなく木刀でバシンと華麗に仕留めたい。それにはもう少し[剣術]スキルを上げた方が良いだろう。せめて後一つ。それでLv3になるんだ。Lv3なら達人級と言われる使い手になるだろう。
そして[統率]スキルだ。1つとればLv2だ。2人がまた強く底上げされるだろう。
当然狙いはリッチだ。休憩ポイントから戻り、ひたすらリッチを探してみよう。多分1日あれば何度か遭遇できるだろう。そう思って大迷宮へ向かった。
ついでにダンジョンワープを買っておく。考えてみたらこの王都で転送に使用する中程度の魔石であれば、買取り価格は金貨2枚程度。であれば金貨3枚なら格安だろう。むしろソロじゃなければそっちしか使わない方がお得だ。
まあ今日はソロだけどね。
それでも休憩ポイントで一旦記録しておきたい。
次に入る時にはさらりと休憩ポイントに移動できる。帰還札ももちろん常備してるし早く行こう!と若干興奮気味で魔石を召喚陣の装置に嵌めこみ、20階層後の休憩ポイントへ移動する。
まずは予定通り休憩ポイントでダンジョンワープを記録してから20階層へと降りる。そしてなるべく余分な狩りをせずに移動する。
ゾンビは全無視、余裕があれば長剣ですれ違いざまに叩きそのまま移動する。[魔奪の肢体]により魔力が2だけ回復する。ストーンゴーレムは[突く]、マジックパペットには[カマイタチ]を使うから回復大事。
20階層~18階層を何度か徘徊しながらも廻ってゆく。1時間程立った時、ついにリッチを見つけることができた。天井付近をふわふわと漂うリッチ。何やら手に持つ古びた杖を右に左に倒しては首をかしげている。
こっそりと近づきいきなりの[突く]を放つと、目の前から瞬時に消え、遅れてスケルトン3体が召喚された。悔しさをぶつけるように[竜巻]で倒し切る。スキル玉すら出なかった。
そしてさらに徘徊。昼食をはさんだ後に再度遭遇したリッチ。上下にふわふわ行ったり来たりして少し微笑んでいるように見える…意外と表情が豊富?
そのリッチに向かって見つからないように隠れつつ[カマイタチ]を放つ。するとかなり早い段階でリッチは消え、またも3体のスケルトン…どうしたら良いのだろう?
召喚されたスケルトンをさくっと倒して出現したスキル玉を、つんして無事[剣術]がLv3へとランクアップした。試しに長剣を振ってみると、なんとなくさっきまでよりスムーズに動かせるようになった…気がするかな?
そしてまた暫く彷徨う中、3度目のリッチさん発見。
ホケーとしているその表情を見て、どうしたもんかと思っていたら、おもむろにこちらを見るリッチさん。目がバッチリ合いました。
ニタ―と笑うリッチさんは両手を上げると、スケルトンが3体、そしてまた3体、少し置いてまた3体…思わず[睨む]とビクリと肩をゆらすリッチさんの胸に、[突く]で長剣を突き立てる。
そして本日3度目の[竜巻]によるスケルトン殲滅。
リッチは消滅し、床には魔石ともう一つ形の違う黒光りした石。そしてスキル玉が目の前に浮かんでいる。さらにはスケルトンからも一つスキル玉。大収穫と言っても良いのでは?
早速リッチのスキル玉をつんしてみると、やはり[統率]スキルであった。これでスケルトン召喚なんかだったらどうしようかと思っていたが、予想通り過ぎて頬がゆるむ。今から2人に報告する時が楽しみだ。
さすがに夕刻までにさらなるリッチとは遭遇せずに帰還札で帰路に就く。
レベルも上がり無事50の大台に乗った。
[剣術]が2つ、[魔奪の肢体]が3つ、[恐慌]が1つ。[統率]も1つ。さらには『硬』の能力玉は3つ出た。素材もそれなりに取れたので大収穫の金貨25枚!リッチの落としたのはやはり魔鉱石であった。
これでまた予備の帰還札の補充とダンジョンワープを買って宿へと戻った。
――――――
アレス クラス:大盗賊 Lv50
体力350 魔力200 外殻340
力41 硬41 速11 魔23
――――――
Up [剣術/Lv3+1/剣の扱いがうまくなる]
Up [魔奪の肢体/Lv3/魔力を吸収する障壁を纏う]
Up [恐慌/Lv3/恐怖を植え付ける悪意のあるオーラを放つ]
Up [統率/Lv2/仲間の力を底上げする強いリーダーシップ]
――――――
そして宿にたどり着くと、部屋にはすでに2人が戻ってきていた。食堂に移動すると僕とクラウはいつも通り、リーゼは控えめに注文をしていた。2人とも久しぶりの休日を楽しんだようだ。
僕については部屋に戻ってから報告すると伝えると、2人が急いで食事を終わらせようとするので少し呆れてしまった。だが気持ちはわかる。
「…と言うわけで、大収穫だったよ!」
部屋に帰ると1人でリッチ狩りを楽しんでいたのを報告する。2人してやっぱり一緒に行けば良かったと言っていた。そして上がったスキルについて報告すると、明日は一緒に行くと言い出した。
僕も含めてだけど、やっぱり休むより冒険なんだと感じてしまう。もちろんたまに休息は必要だから、週に一度は休みを取ることにした。今週はもういらないとも言われた。
あれ?僕の休息日は?まあ今週は自業自得か。と諦める。
こうして、久しぶりのソロ狩りを堪能した僕は、シャワーを浴びていつもの様に歌って眠った。
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王都ユルレイヒルの冒険者ギルド
1階には受付に解体所、訓練所に食堂と談話室、売店などなど。2階は簡易宿泊施設があり、職員の休憩所や仮眠室、訳アリ冒険者の一時宿泊施設、資料室がある。
3階はギルドマスターの執務室に応接室、給仕室があるが、応接室は諸事情により冒険者ギルド本部会長により改装され、会長執務室となっている。
王都の大迷宮・ユルレイヒル大迷宮/21~30階層
リッチ
遭遇すると間髪入れずにスケルトンを召喚して消える、素材は魔石と稀に魔鉱石を落とす。固有スキルは[統率]。
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