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エピソード⑭
昨日よりも強くなっている魔物と戦いながら、ジレーネ達は進んで行く。
先行するのは相変わらずウィルフレッドだ。その横をリヒトが口から青い炎を放つ。援護に回りながら、ジレーネは風魔法を放つ。
そうして、襲い来る魔物達を倒しながら突き進む。
この山を攻略すれば、復讐の相手フレドリクがいるケイオス帝国だ。
自然とジレーネの気も引き締まる。だが、進むに連れて強くなる魔物達が邪魔で思うように進めない。
(くっ! この程度で挫けるわたくしではなくってよ!)
焦っても仕方ないのだから、的確に倒して行くのが吉だろう。
「阻むモノは、全て……!」
「ジレーネ様、少しお下がりください。距離が近すぎます」
ウィルフレッドに諭され、冷静さを取り戻したジレーネは少し後退する。入れ替わるようにリヒトが前に出て、炎を放った。魔物達が怯んだスキを突いて、ウィルフレッドが斬り刻んで行く。トドメにジレーネが、雷魔法を放ち何体もの魔物達を灰にした。
だいぶ連携が取れて来た二人と一匹は、このまま進んで行く。
先に待つのは、この山の主とも言われている強大な魔物だ――。
****
(強大な魔物の気配がしますわね……)
山頂近くまで来たジレーネ達は、一旦立ち止まる。この先に、山の主がいると確信したからだ。
「どう致しましょう? 作戦無くして、危険ですわね」
「何かお考えがあられるのでしたら、従います」
「ウィルフレッド……貴方には何かなくって? わたくしは戦いについては素人でしたのよ? 貴方こそ、作戦が練られるのではないかしら?」
「ジレーネ様のご意向のままに」
どこまでも淡泊なウィルフレッドに、苛立ちと寂しさが募る。だが、それを本人に伝える勇気はなかった。
(心の距離が遠いのが、こんなにも切ないだなんて……知りたくなかったですわね)
「でしたら、ウィルフレッド。貴方に作戦をお願いしたくてよ? お願い出来て?」
「かしこまりました」
一度魔法で結界を張り、様子を見る。山の主たる魔物の属性等、少しでも情報が欲しいからだ。リヒトの固有能力の一つを使用し、山の主について探る。
そうしてジレーネ達は気づいた。
「ウィルフレッド……これはもしかして?」
「おそらくは。どう致しますか?」
「そうですわね……対話が出来るものなのかしら?」
「出来るものもいるとは聞きます」
ジレーネに緊張が走る。
何故なら――山の主が、魔物の中でも最上位種の一つ。竜だからだ。
それもおそらく、神格クラスの――。
(これほど禍々しい中に、何故竜が? そこも含めて……対応するしかありませんわね……)
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