異世界の流行らないたぶん美味しい食堂

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「いらっしゃいませ〜」  食事中だったけれど、お父さんとお母さんはドアベルに素早く反応して椅子から立ち上がる。  仕事熱心だなと思いながらわたしは、大好物のイチゴタルトを大きな口を開けて食べる。うん、クリームの甘さとイチゴの甘酢っぱさがマッチしている。  えへへ。わたしはお客さんより食べることを優先するのだ。  お父さんとお母さんの休憩室から出ていく後ろ姿を眺めながらわたしは優雅に紅茶を飲む。  うん、紅茶も最高だ。  その時。男性の大きな声が聞こえてきた。何だろう? と思いわたしは椅子から立ち上がる。 「ふ〜ん、雰囲気の良いお店ですね」と言っているようなんだけれど、なんだかその声は褒めているのとちょっと違う気がした。 「モフにゃーわたし達も行こう!」 「んにゃん? わたし、イチゴタルトをむしゃむしゃしているだにゃん」 「そんなの後でいいから」 「え〜むしゃむしゃぱくぱく中なのににゃん」  モフにゃーはイチゴタルトにかぶりつきながら返事をする。 「モフにゃーはわたしの眷属なんでしょう?」  わたしはニヤリと笑ってみせた。 「ず、ズルいにゃん。アリナちゃんってば……でも仕方ないにゃん。主のいうことだもんにゃん。渋々だにゃん」  モフにゃーは食べかけのイチゴタルトをお皿に戻し椅子から立ち上がった。  
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