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「さあ、お嬢さんバスに乗って」
男性は青みがかったサラサラな髪を風になびかせにこやかな微笑みを浮かべている。
「わ、わ、わ、わたしですか?」
「そうだ。君だよ。あ、そうだ、そこの猫ちゃんもついでにどうぞ」
にゃん! と猫は鳴いた。まるで、『はいにゃん』と返事をしているかのようだ。
「猫ちゃんはバスに乗る気満々だよ。さあ、早く乗って。君を迎えに来たんだからね」
男性のふわりと包み込むような微笑みにわたしは思わず「はい」と返事をしてしまった。
わたしは入口と書かれているバスの後ろ扉から乗り込む。猫もにゃんにゃんとバスに乗り込んだ。
車内にはわたし以外の老若男女が数名乗っていた。この人達もこの男性に迎えに来られたのだろうか。
わたし達はこれからどこへ行くの? 幸せが満ち溢れている場所だったら嬉しいな。そう願いながらわたしはゆっくり目を閉じた。
そして、再び目を開けるとそこは異世界でした。って……。
なんでやねん!! なぜだか関西弁になってしまった。
「ようこそ、グリーン王国へ」
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