黄色のバスに揺られ異世界へ

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「へ? わたし二歳でちゅか?」  うわぁー。わたしと言えたけれど、今度はでちゅかなんて言ってしまったよ。恥ずかしくて顔に熱が集まる。だって、でちゅかだよ。  そんなこと気にする素振りもなく男性は「アリナちゃんが二歳と答えたんだよ」と言いながらわたしの頭を撫でた。  その手はちょっとゴツゴツしていたけれどとても温かかった。なぜだか涙が出そうになる。 「そうよ、アリナちゃんはねうちの庭で倒れていたのよ。どうしたの? 大丈夫? 何歳?って聞いたら二歳って答えたわ。それと、お父さんとお母さんはって聞くといないと……もね……」  女性もわたしの目の高さに合わせしゃがみ眉間に皺を寄せながら言った。 「そうだったの……」  これはもう二歳の幼女を演じた方が良いかもと思えてきた。どうして二歳と答えたのかよくわからないけれど。 「アリナちゃんどうだいうちの子になるかい? モフにゃーちゃんもうちの猫にな」 「アリナちゃんだったら大歓迎よ。モフにゃーちゃんもね」    二人は心がぽかぽかしてくる春の暖かい日のような笑顔を浮かべている。  わたしは気づくと「はい」と即答していた。  モフにゃーも「はいにゃん」と答えた。  その時、ふわーと風が吹き何処かから声が聞こえてきた。 『決定だな。安莉奈はアリナとしてこのグリーン王国で生きていけ。猫ちゃんもモフにゃーとしてな』  気がつくと目の前に神様が立っていた。 「か、神様……!!」 「か、神様にゃん……!!」  神様の宝石のように美しいブルーの瞳がわたし達をじっと見つめてこう言った。 『お前達は安莉奈と捨て猫の記憶を忘れて生きていけ~!!』  その声を聞いたわたしとモフにゃーから地球での記憶は消えた。  そう、熱を出した三歳のあの日までは。
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