異世界の流行らないたぶん美味しい食堂

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「ねえ、お父さん、お母さん洗い物はまだかな〜?」  木製のキッチン子供用の踏み台の上から振り返りわたしは、尋ねる。 「まだ、お客さんが来てないから洗い物がないのよね」  お母さんはふぅーと溜め息を零す。 「そっか、残念……」 「残念にゃん」  わたしの隣に立ち布巾を手に持つモフにゃーも残念そうだ。 「アリナ、お父さんの料理は美味しいよな?」  洗い場に入って来たお父さんが尋ねる。 「うん、わたしお父さんのご飯大好きだよ〜」 「おぅ。そうかそうかそれは嬉しいな」  お父さんは嬉しそうにふにゃふにゃとした表情になる。 「だから、もっとお客さんに食べてもらいたいよ」 「そっか、アリナよ。嬉しいことを言ってくれるな」  お父さんのその表情はふにゃふにゃふにゃふにゃふにゃふにゃとそれはもう緩んでいる。 「アリナ、お父さんは頑張るからな」 「うん。わたし応援してるね」  わたしはにっこりと笑った。 「おぅ。アリナのその笑顔がお父さんのパワーになるぞ〜」  ふにゃふにゃふにゃふにゃふにゃーりととろけてしまいそうな柔らかい笑顔を浮かべるお父さん。嬉しいけれど、ちょっぴり鬱陶しいかもしれないよ。
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