異世界の流行らないたぶん美味しい食堂

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「さて、アリナにモフにゃーそろそろお昼ご飯にしようか」  洗い場にやって来たお父さんが笑顔で言った。  わたしとモフにゃーはやったーとバンザイをする。  小さな休憩室のテーブルに賄いの料理が並べられいる。  野菜たっぷりの豚肉入りスープにライ麦パンや白パンにデザートはイチゴタルト。飲み物は紅茶だ。  この世界はイチゴタルトが人気でわたしも大好物。だけど、時々日本の記憶がよみがえりデザートも料理も種類が少ないなと感じる。 「さあ、食べよう。いただきま〜す」とお父さんが手を合わせた。 「いただきま〜す」とわたしとお母さんもそれに続き手を合わせる。モフにゃーも肉球のある可愛らしい手を合わせている。とってもキュートだよ。モフにゃー。  先ず、ライ麦パンに手を伸ばす。そのライ麦パンをちぎってスープに浸し柔らかくて食べる。  うん、スープの汁がライ麦パンに染み込み美味しい。熱々ほくほくはふはふだ。家族でご飯を食べている。ただ、それだけなのにわたしはもう幸せな気持ちになる。 「アリナ美味しいかい?」 「うん、お父さん。とっても美味しいよ~」 「それは良かったぞ。お父さんはアリナの美味しそうに食べているその姿を見ているだけで幸せなんだよ」  そう言ってニコニコと笑うお父さん。その隣に座るお母さんも微笑みを浮かべている。  それから、モフにゃーも無我夢中で食べている。因みにモフにゃーは食事中やお仕事の際は猫ちゃんサイズからわたしと同じくらいのサイズに巨大化する。  えへへ。わたしは幸せ者だなとほくほく笑顔を浮かべていると、カランカランとドアベルが鳴った。  お客さんだ。
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