黄色のバスに揺られ異世界へ

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 木製のテーブルには美味しそうな料理が並べられている。  人参やキャベツ等の野菜類と豚肉入りのスープ、ライ麦パン。それにわたしの大好きなハチミツもある。  わたしは椅子に腰を下ろしながら目をキラキラと輝かせる。わたしは食べることが大好きなんだ。 「アリナたくさん食べて大きくなるんだぞ」  お父さんはわたしの真正面に座りニコニコととろけるような笑顔を浮かべている。 「は〜い!」とわたしは元気よく答えた。 「あ、そうだ。大きくなるのも楽しみだがアリナはまだまだ小さな娘のままでいてほしいな」  お父さんはわたしを愛してくれている。これがいわゆる娘を激愛する父親なのだろうか。 「うん、お父さん。わたしまだまだ幼女のままでいるね」  わたしはニコッと笑ってみせた。  お父さんの愛情表現はちょっと鬱陶しくて暑苦しいけれど、嬉しくもあるのだ。だって、わたしは……。お父さんをチラチラ見ていたその時。 「アリナ来月六歳の誕生日よね。誕生日パーティーをしなくちゃね」  お母さんがミルクボウルをわたしの目の前に置きながら言った。
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