黄色のバスに揺られ異世界へ

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「おっ、そうだったな。誕生日パーティーが楽しみだな」  わたしが返事をするよりも先にお父さんが答え、そして「アリナも六歳になるのか」と感慨深げに言ってどこか遠くを見つめる目になる。 「うん、六歳だよ」  わたしはミルクボウルに口をつけゴクゴクと大好きな牛乳を飲みながらそう言った。  ただ、この六歳という年齢に少し違和感を感じるのもまた事実だ。それは、わたしが前世いや違う。元々はこの世界の人間ではなかったしわたしは死んでないはずだ。  そう、わたしはキラキラと輝く黄色のバスに乗せられこの異世界へやって来た。漫画や小説でよく見かけるいわゆる異世界召喚ってやつだ。あの夢でよく見る女性は安梨奈(ありな)ことわたしなのだ。  あれは夢ではない。わたしは地球に住んでいた。そう日本に……。その日本で暮らしていたわたしは毎日辛くて悲しくてどうしようもない気持ちを抱えていた。  そのことを思い出したのはこの世界で三歳の誕生日を迎えたばかりのある日のことだった。  風邪をこじらせ寝込んでいたわたしは夢を見た。  そう青い星の地球の夢を見た。  この世界とは異なる地球という惑星の中にある日本でわたしは生きていた。  そんなわたしがいつの間にか異世界のグリーン王国の住人になっていた。今の両親であるモリーナ夫妻に二歳の頃拾われて。  わたしに何が起こったのかというとそれは。
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