黄色のバスに揺られ異世界へ

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 その後も両親は帰って来なかった。叔母さんと叔父さんにそれから富菜ちゃんもわたしに歩み寄ってくれることはなかった。 「神様、わたしの人生ってなんだろう。もう別世界にでも行ってのんびり生活がしたいです」  神社の境内に足を一歩踏み入れると空気が澄んでいるように感じる。わたしはこの空気感が好きでよく神社へ参拝に行く。  今日は思わず神様に不満を零してしまう。 「なんて神様愚痴を言ってすみません」  わたしはぺこりと頭を下げる。わたしよりもっと辛い人は星の数ほどいるだろう。ご飯が食べられて屋根がある家で寝ることができるだけで幸せなんだよね。  自分自身に言い聞かせるようにわたしは呟く。くよくよしない、強く生きなきゃね。  木々に囲まれた境内の澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込む。すると、体の奥に溜まっていたネガティブな気持ちが洗い流されみるみるうちに元気が湧いてきた。  そして、わたしは両手を胸の前で合わせ合掌する。 「神様いつも見守ってくれてありがとうございます」  神様に感謝の気持ちを伝えたその時。にゃーと猫の鳴き声がどこからともなく聞こえてきた。 「猫ちゃんがいるの?」  わたしは猫の鳴き声がする方向に視線を向けた。すると、段ボールが目に入った。  これはまさか……。  恐る恐る段ボールに近づき中を覗くと子猫が入っていた。その子猫はか細い声でにゃーにゃーと鳴きわたしを見上げ何かを訴えているようだ。
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