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「アリナはお客さんと仲良くなったみたいだな」
サナとナットーと笑い合っているとお父さんがわたしの肩に手を置き言った。
「うん、サナちゃんとナットー君と準備体操をしていたら仲良くなったんだ」
準備体操なんて本当はしてないけど……。お父さんごめんなさいと心の中で謝りながらわたしはにっこりと笑う。
「そうか。それは良きことだな。では、お父さんは仕込みでもしてくるからお客さんとゆっくりしてなさい」
「うん。そうするよ」
「お客さん、いや、サナちゃんにナットー君アリナをよろしく頼みますね」
と、お父さんは二人に頭を下げキッチンに戻った。
わたし達はお父さんの背中を見送り、その姿がキッチンに消えると、「素敵なお父さんだね」とサナとナットーがほぼ同時に言った。
「うん、わたしに甘くて激愛ぶりが時々鬱陶しいけど大好きなお父さんだよ」
こんなふうに答えることが出来てわたしは嬉しかった。
「アリナちゃんは可愛がられているんだね」
「うん、もうたくさんの愛をもらっているよ」
わたしはお父さんとお母さんの娘になれて良かった。この世界がとても愛おしい。
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