太陽みたいな人

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太陽みたいな人

「雨宮さん?大丈夫?」 「う、うん!えとアリガトウ、ゴザイマス」 「いいよ。暗くなってきたし、帰ろうか」 私たちは二人で並んで校舎を出ると駅まで一緒に向かった。 「あの、先生。本日はお世話になりました」 「先生って俺のこと?文也でいいよ」 「あ、では文也君。今日は本当に助かりました」 文也でいいよ!? 急にそんな呼び方させますか。 否、ただのクラスメートにさせる呼び方ではありません。 緊張で口調が固くなった。 「いいよ。教えるのは俺のためでもあるから」 太陽のような人だなあ。 明るく誰もの心を惹いて、暖かく照らす。 「あ、あああの!私のことはぜひ美子とお呼びいただけますか!?」 「もちろん。美子、また一緒に勉強しようね」 「い、いいの!?ぜひお願いしたいです」 嬉しさから、私は聞き逃していた。 という言葉の違和感に気が付かなかった。 翌日から、私の生活は一変した。 学校に通うのが、楽しみで仕方なくなったのだ。 雨の日も、曇り空でも、私の心だけは晴れている。 彼が太陽のように私を照らし続けてくれるから。 「おはよう、美子」 「おはようです……文也君」 その瞬間、いつも頭の中にちらりと違和感がよぎる。 自分でも何なのか分からない、ごくごく小さな違和感が毎日降り積もっていく。
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